メイジーの瞳のレビューと感想まとめ!新しい家族のカタチがいい!

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子育てをしていると、親というものは、正直、大変な役目だと思う瞬間があります。
「メイジーの瞳」に登場する親たちもまさにそう

なぜなら、仕事もしたいけど、恋もしたい。
子供もかわいいけど、自分の気持ちがどうにもならない。
人としてはまだまだ未熟なのに、親としてはいつも完璧を期待されてしまうからです。

でも、親が未熟でも、それに付き合う子供は日々成長します。
皮肉ですね。

この映画の主人公・メイジーは6歳という幼さながら、周囲の大人たちをその瞳で冷静に見守っています。どんなふうに写っているかは、メイジーの表情、仕草を見れば、一目瞭然。

それが、時には切なく、時には辛くさえあって、画面の向こうのメイジーに声をかけてあげたくなるほどです。

でも、このお話に描かれるのは「新しい家族のかたち」
母親はこうあるべき。家族はこうあるべき。
そんな考えは、取っ払ったところにある、新しい家族のかたちが描かれています。

この記事では、「メイジーの瞳」のネタバレありのストーリーをご紹介していきます。

もしもあなたが、子育てに息苦しさを感じたり、思うように育たない子供にイライラしたりしていたら、読んでみてください

「ちゃんとしなくちゃ」「思ったようにならない」と理想とのギャップに悩んでいた心が、少しは楽になるはずですよ。

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メイジーの瞳のレビュー

ニューヨークに暮らす少女メイジーの身の回りに起きるのは、大人が巻き起こす身勝手な言動。その中で成長するメイジーの姿が見て取れるお話です。私たち大人は、メイジーの表情や、瞳の動き一つに、大人の身勝手さを知ることになります。

メイジーの現実

メイジーはニューヨークに暮らす6才の女の子
父親のビールと母親のスザンナが離婚し、メイジーは、両親の元を10日間ずつ行き来する生活を送ることになりました。

メイジーに大きな愛情は抱きつつ、互いの仕事の忙しさや不規則さがあり、次第にメイジーのことは人任せになっていく二人の親たち

目の前で実の親がののしり合いながら喧嘩をする。それを見てはいけないというような表情ながら、見守る幼いメイジーでした。

Nao
Nao

大人がいつも正しいことばかりをするわけではないけれど、子供の前では言い争いはやめて、というのは多くの親御さんにお伝えしたいことですね。もう少し大きな子供なら少しは判断もできるかもしれませんが、幼いなら幼いだけ、その影響は大きいものです。

メイジーの心安らぐ存在

そんな中で、両親の元を行き来するうち、メイジーは両親の新しいパートナーと心を寄せ合うようになります。

父・ビールの新しいパートナーであるマーゴは、元々メイジーのシッターだった人。メイジーの両親の不仲や、それを否が応でも見てきたメイジー気持ちを、誰よりもわかってくれる存在でした。

そして、母・スザンナの新しいパートナー・リンカーンは、言ってみれば、体当たりでメイジーの相手をしてくれる人。メイジーと遊ぶときのメイジーの屈託のない笑顔が、そのことを物語っています。

この新たなパートナー同士が、メイジーを通して出会います
わがままな両親が「10日間」という約束を守れず、尻拭いをする形で、出会ってしまうのです。

Nao
Nao

傍から見ると、離婚した夫婦が若い相手を見つけ、その相手同士がくっついてしまう、、、なんていうのは、なんともゲスな展開。でも、このお話では、メイジーという女の子の浄化作用が働いているように思います。

新しい家族のカタチ

ある時、母・スザンナは、ツアーをキャンセルできなくなり、メイジーにリンカーンの元に行くよう告げます。しかしリンカーンに会うことができず、代わりに迎えに来てくれたのは、マーゴでした。

そして二人は海辺のコテージで暮らし始めます。そこには、まもなくリンカーンも合流し、メイジーにとって、心安らぐ新しい生活が始まりました。

海辺での絵に描いたような素敵な生活でしたが、そこにある日、母・スザンナが現れます。

ツアー中に少し余裕ができたのか、一緒に行こうとメイジーを促すスザンナでしたが、もう1日待ってほしい切り出すメイジー。なぜならメイジーは、マーゴやリンカーンとボートに乗るのをとても楽しみにしていたからです。

一瞬怒り狂うスザンナでしたが、メイジーの表情を見て、我に返ります。
そして、プレゼントを手渡し、メイジーの元を去るスザンナ。
翌日、ボートに乗るため、桟橋を走るメイジーの姿がこの物語のラストシーンです。

Nao
Nao

最後に、母・スザンナが母らしい態度を見せてくれたことにホッとしました。これで縁が切れるわけではないし、メイジーにとってはただ一人の母親ですからね。

レビューのまとめ

6歳のメイジーが、実の両親とそのパートナーとの間で、幼いながらにさまざまなことを感じながら、成長していく姿が描かれています。四人の大人たちの間で、まるでパスし続けられているボールのように感じたお話でしたが、時にはそのパスがメイジーを助けてくれるものだったり、時には悲しみに満ちたものだったり。

6歳という年齢以上に成長せざるを得なかったメイジーの心に、見る人達はそれぞれの立場でいろんなことを感じることができるでしょう。

メイジーの瞳に映ったものとは?

この映画には原作があります。
1982年のヘンリー・ジェイムズの小説「What Maisie knew」
「メイジーが知ったこと」というタイトルです。

映画と原作では、設定などに違う点はありますが、
「メイジーの瞳」というタイトルの意味することとは、メイジーが見たことも、つまり「メイジーが知ったこと」ということでしょう。

では、一体、メイジーの瞳にはどんなものが映ったのでしょうか
一番に言えるのは、何と言っても、身勝手な大人たちの姿でしょう。

アートディーラーという仕事柄、海外に長期の出張に行くことが多いにも関わらず、娘を引き取ろうとする父親。結局、新しいパートナーに娘を任せるなんて、普通のドラマなら、娘が継母にいじめられるパターンです。

そしてこれまた、ロック歌手という仕事の不規則さをわかりながらも、娘を父親に譲ることをしなかった母。
パートナーに確認もせず、ツアーに出るからと、娘を夜の街に放り出す姿は、見る人が見たら鬼でしかありません。

が、それでも、メイジーにとっては、親は親なんですよね。

Nao
Nao

目に映る親には、がっかりさせられるようなことばかりだけど、
そこからメイジーが知ったのは、
「親もこんなときがあるさ」
「大人もいろいろ大変なんだよね」
という、達観した思いなんじゃないかな。

母親から届いた花束を、父親がゴミ箱に捨て、それを拾ってクローゼットにしまっておいたメイジー。でも、マーゴにそれを見つかってしまい、メイジーは「アレルギーだからクローゼットに置いている」と言い訳をします。

マーゴにも気をつかい、その気遣いにも気づいたマーゴが、二人でその花を押し花にするシーンは、胸が熱くなります。

また別のシーンでは、出張に出かけた父親の部屋に、合鍵もなく入れないマーゴ。まだ、部屋の住人に自分の名前がないことに傷ついて大泣きするマーゴに、そっとメイジーが寄り添います。

Nao
Nao

いろんなものを見たり、いろんなことを感じる中で、6歳の子供なら、もっとわがままに自由にしたい年頃なんですよね〜。でも、その瞳で周りをじっと観察しては、絶妙の距離感で大人たちに接する。そんな術を身につけてしまったんですね。

メイジーの瞳の感想

メイジーが、このお話の中で自分の意見を言うのは、ただの一度だけ。

最後、母親に「もう1日ここにいさせてほしい」という時だけなんです。
あとは、ひたすら、大人たちに従い、寄り添い、流されるままに暮らしています。

私は、本物のメイジーに会ったこともないし、話をしたこともないけれど、(もちろん、架空の少女ですが)メイジーには「優しい」という表現しか思いつきません

書道家の武田双雲さんが、「優」という字は憂う人に寄り添う人のことだと話されていました。
憂う人に寄り添える人こそ「優しい」のだと。

メイジーは、まさにそんな女の子です。

本物の両親。そして、自分を支えてくれる継父と継母。
それぞれに怒りや悲しみがあって、6歳の子どもの前ですら、それを隠せない大人たちを尻目に、彼らにそっと寄り添っていく。

Nao
Nao

世の中には、幼稚な大人もいれば、思慮深い子供たちもいます。
生きた年ではなくて、大人も子供も、みんなが支え合いながら生きていければいいのかなぁ。

「メイジーの瞳」のラストシーンの続きが、どのように展開していくのかはわかりません。


でも、血はつながらなくても、自分の生活を支えてくれる人たちがいる。そして、わがままだけど、自分のことを愛してはくれる実の両親がいる。
これもひとつの家族のかたちなのかもしれません。

親ってやっぱり難しいけど…

妊娠した途端、もう親なんだからとか、
子供が成長するにつれ、親は子供に育てられるものだとか、
子育てには、親へのプレッシャーがつきものです。

「メイジーの瞳」を子供の目線から見ると、「大人たち、もっとしっかりしろ!」としか言えないお話なのかもしれません。

でも、親はいつになっても、子育てのプロではありません
子供が20歳になっても、20歳の子供に向き合うのは初めて。言わば、いつも初心者なんです。

Nao
Nao

だから、もっと気楽に子育てしていいし、
人に頼って、時には子供にも頼っていいんだと思います。
親の弱さを子供に見せることも、時には許されるはず。

6歳の少女、メイジーがそんなことを教えてくれたお話でした。

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